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2017.10.02.Mon

国連UNHCR難民映画祭で上映される『希望のかなた』。難民が描ける希望とは…

国連UNHCR難民映画祭2017が9月30日から開始されました。
 
上映作品の中には、国際映画批評家連盟(FIPRESCI)賞グランプリを受賞したアキ・カウリスマキ監督作品の「希望のかなた」も上映されます。この映画では、シリアを逃れた難民の人々が行先で直面することを、ストーリーを楽しみながら感じることが出来ます。
 

シリアから逃れた青年がフィンランドのレストランの人々と出会い交流する物語

 


 
シリア人のカリードは内戦が激化するシリア、アレッポからヨーロッパへ逃れようと船に乗り込み、偶然にもフィンランドへたどり着く。彼は祖国への空爆で家も家族も失くし、唯一生き残った妹とも逃避行の途中ではぐれてしまった。
 
フィンランドで難民申請をし、生き別れた妹を探し出そうとするが非情にも難民申請は受理されず強制送還されることになってしまった。カーリドは収容施設を逃げ出し、不法滞在となってしまう。
 
しかし、この街でも差別や暴力にさらされるカーリドだったが、寝泊りしていたレストランのゴミ捨て場でレストランオーナーのヴィクストロムに出逢い、彼に救われる。ヴィクストロムはカーリドを自身のレストランで雇い、食事に寝床、偽の身分証明書までも用意する。ヴィクストロムやレストランの仲間に助けられ、妹を探し出すことに成功し妹との再会を果たすカーリドだが、またもやカーリドに不運がのしかかる…。
 

難民が直面する課題は何か

 
映画内でカーリドは、様々な困難に直面している。

・シリアでは、誰の仕業かもわからない空爆によって家を破壊され、家族や親類を失ってしまう
 
・唯一生き残った妹とは、ハンガリー国境の混乱の中ではぐれてしまう。そして、連絡手段もなく、生死を確認する手段すらない。ひたすら探し続けるしかない。
 
ようやく辿り着いたフィンランドでは、
 
・難民申請を拒絶する官僚組織によって、望んでいないにも関わらずトルコ送還が決まってしまう
 
・差別感情をむき出しにするネオナチ集団によって、何度も襲撃を繰り返されてしまう

 
それらは、筆者が「シリアに生まれて」(ドキュメンタリー)で見た難民たちのストーリーと多くが符合する。カーリドが体験することは、決して映画用の特殊なストーリーなのではなく、多くの難民が直面している課題と言っても過言ではないと思う。
 

周囲の人々が難民の人々に向ける眼差しひとつで彼らの未来への希望がひらける

 
カーリドは映画の冒頭、真っ黒い顔で登場する。シリアからヨーロッパへ向かう船では石炭の中に身を隠していたからだ。船では船員にみつかるが、見逃してもらい、食事を与えてもらう。母国シリアを追われ、さまざまな困難に見舞われるがヴィクストロムに出逢うことで大きな一歩を踏み出すことができた。
 
難民が抱える問題は大きいが、周囲の人の善意によって希望を持ち、また新たなスタートを切れるのだ、と感じた。
 
ヴィクストロムのレストランの従業員は風変わりな従業員ばかりでとてもユニークなレストラン。この映画の一番の見どころはこのレストランの場面なんじゃないかと思う。難民を描いた映画のはずなのに、レストランの場面では会場からどっと笑いが起きていた。風変わりなレストランの仲間たちによってカーリドが少しずつ居心地の良さを感じていく感があってなんだかホッとしてしまった。
 
難民を取り巻く過酷さ、それとは対照的にカーリドが出逢う優しい人々。
それによってなんだかほっこり、心が温まる映画だった。
 
周囲の人々が難民の人々に向ける眼差しひとつで彼らの未来への希望がひらける、この映画を通じて、そう感じることが出来る。
 

「希望のかなた」
難民映画祭において上映中
http://unhcr.refugeefilm.org/2017/movies_detail/movie_h/
 
2017年12月2日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー
http://kibou-film.com/
 
「国連UNHCR難民映画祭2017」基本情報
 
主催:国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所/特定非営利活動法人国連UNHCR協会
 
今年のコンセプト:「観なかったことにできない映画祭」
 
開催期間:2017年9月30日(土)-11月12日(日)
 
開催都市:東京、札幌、名古屋、大阪、福岡、広島
 
ホームページ:http://unhcr.refugeefilm.org/2017/
上映作品:全13作品、日本初上映多数。
  詳しくは、上映作品(http://unhcr.refugeefilm.org/2017/movies/)。
上映日程:詳しくは、スケジュール(http://unhcr.refugeefilm.org/2017/schedule/)。
上映会場:詳しくは、会場案内(http://unhcr.refugeefilm.org/2017/venues/)。
 
参加方法:事前申込+抽選制。詳しくは、お申し込み・ご入場について(http://unhcr.refugeefilm.org/2017/admission/)。
ライター: