ようこそ、ソーシャルスタンドへ

困難を抱える生徒ばかりの高校のはなし vol.2

このコラムは、筆者が支援活動を続ける中で、出会ったり・聞いた方のお話をご紹介します。具体的な学校名、地名、スクールソーシャルワーカーの名前を出すことはできませんが、困難な環境が実在していることを少しでも多くの人に知って欲しいと思っています。(筆者がチャリティ・支援活動を続ける一つの動機になっています。)

 

とある公立の全日制高校は一学年あたり400人いる大規模校。その生徒のほとんどが何らかの困難を抱えている。貧困・DV・ネグレクト・不登校・発達障害…。困難は複雑化している。当然教員のみではすべてに対応することは不可能。少しでも解決の力になるべく、たった一人のスクールソーシャルワーカー(SSW)が週2回常勤で対応している。
 
ケース2:ヤンキーが怖い、遠方通学生の事情 ある男子高校生。通学に2時間弱の地域に住んでいる。入学式の次の日から学校に来なくなってしまった。実は中学時代いじめられていたことのあり、同じ中学の同級生がいない遠い学校をわざわざ選んでいた。遠方のため校風や近所の評判を聞くことも出来ず「とにかく誰も知っている人がいない学校へ行きたい!」その一心で内申点と偏差値からこの学校を選択したのであろう。
 
入学式に行っていわゆる”ヤンキー”が多い学校だということがわかり、怖くて学校に行けなくなってしまった。 現在、高校選択において学区制度は廃止され同県内であれば自由に高校を選んで受験ができる。部活動や校風が気に入ったなどの理由で高校に入学、通学に2時間程度かける生徒も少なくない。困難を抱える生徒ばかりの高校では、近隣の中学からこれから入学する生徒の情報を事前に入手するという。やはり近隣の中学からの入学者が多く、多数の生徒の状況を網羅できる。 遠方からの生徒は各中学につき1人のため、わざわざ情報を聞きにいくことはなかったという。
 
しかし困難を抱える生徒ばかりの高校では、遠方から入学する生徒こそ大きな困難を抱えている確率が非常に高い。「その地域(中学)環境にいられない事由があった」から他地域であるこの学校を受験した。 このケースは教員間で共有され、遠距離通学の生徒の出身中学にもヒアリングをするようになったという。男子高校生は相談の結果、定時制高校に転校した。

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