今、横浜で『外国人学校の子どもたちの絵画展』が開催中だ。横浜市内の外国人学校、いわゆるインターナショナルスクールに通う子どもたちが、「本」「読書」「図書館」をテーマに描いた絵の展示会で、同時開催企画として外国語と日本語による、おはなし会や絵の鑑賞ワークショップも開催している。期間は3/20(月・祝日)まで、入場無料。桜木町駅近くの横浜市中央図書館 1階展示コーナーにて。
この絵画展を発案したのは、神奈川県立地球市民かながわプラザで外国人教育相談コーディネーターを務める加藤佳代さん。年間1,300件に及ぶ相談を受けるなか、もっと外国人学校の子どもとの距離を近づけたいという思いが企画の発端だそうだ。外国人学校の子どもたちの絵を図書館で紹介することで、図書館を訪れる来場者に、国際理解や多文化共生の意義を感じてもらったり、さらに、絵を描いた子どもたちやその家族が図書館を身近な施設として感じてもらうという目的もあり、イベントは今回で4回目となる。ちなみに外国人学校とは、外国にルーツを持つ子弟を対象として、教育を行う学校のこと。欧米系のインターナショナルスクールや中華系の学校、朝鮮半島出身者による在日コリアンの民族学校など、様々な学校があり、近年インド出身者や南米出身の子どもたちの学校が増加傾向にある。
近いのに遠い存在を打破する。
横浜市はインターナショナルスクールの発祥の地でもある。1872年、日本で初めての外国人学校「サンモールインターナショナルスクール」が設立された。現在、約8万人以上の外国人が横浜市に住み、10校の外国人学校がある。しかし、普段の生活において、外国人の子どもたちと接する機会も、彼らがどんな生活を送り、どんな教育を受けているのかは想像する機会は多くない。そういう意味で、彼ら彼女たちは、近くに住んでいても遠い存在となってしまっているのかもしれない。
きっかけに想像してみる。
日本に暮らす外国人児童の教育問題も無視できない。愛知淑徳大学准教授 小島祥美氏いわく、「日本では、国内に暮らす外国籍の子どもが就学義務の対象外、基礎的な教育を保障していない」、「小中学校に通ってない不就学児童、つまり学校に通っていない子どもが多く実在する」、「不就学の子どもは公立学校の中退者が多く、そのなかには就労している子どももおり、教育の機会が失われている」、「公的な財政支援が受けられないことにより、保護者が支払う授業料のみで運営。経済的な理由から不就学に陥る子どもが発生する可能性が高い」、「学校保健安全法の対象外であるため、一度も学校健診を受けたことのない子どもも実在(する)」、「外国人学校の中等部の卒業者を公立高校への入学のための出願資格者として認めるのは限られた自治体だけ進路が限定されてしまう可能性がある」など、外国人の子どもの不就学や様々な苦難をもたらす原因を生み出しているという。
外国人学校の子どもたちの描く絵画を通じて、日本で暮らす外国籍の子どもたちが置かれている現状に、少し目を向けてみてはいかがでしょうか。気になる方はぜひ足をのばしてみてください。3/20(月・祝日)まで開催中です。
■イベント概要
『第四回 外国人学校の子どもたちの絵画展』
期間:2017年2月21日~ 3月20日
場所:横浜市中央図書館 1階展示コーナー
アクセス:京浜急行線「日ノ出町駅」より徒歩5分/JR・市営地下鉄線「桜木町駅」南改札より徒歩10分/ 市営バス停「野毛坂」より徒歩1分/ 市営バス停「中央図書館」より徒歩1分
絵画出展協力校:サンモールインターナショナル、横浜山手中華学校、横浜中華学院、神奈川朝鮮中高級学校、ホライゾンジャパンインターナショナルスクール
入場料:無料
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