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2017.09.14.Thu

バリアのない空間にこだわった、みんなで感じる美術館『ミュージアム・オブ・トゥギャザー』

8月某日。青山にあるギャラリー・スパイラルに、小学生の子どもからお年寄り、車いすユーザーから健常者まで、多くの人が集まりました。
 
10月に開催される展示[日本財団DIVERSITY IN THE ARTS企画展]ミュージアム・オブ・トゥギャザーに向け、周辺のバリアフリー情報を集めるためのイベント、『ブレーメンの調査隊』の参加者のみなさんです。
 

 

障がいは社会の側のバリア

 
突然ですが、障がいがある、というのはどういった状態でしょうか。
 
障がいといっても多種多様で、一言では表しきれませんが、そうした人々は、何かしら社会で生きづらさを感じています。「なぜ障がいがあると、生きにくいのか」考えたことがあるでしょうか。彼らが生きにくいのは、彼らのせいなのでしょうか。
 
ひょっとしたら、社会の側が、健常者を前提にしていて、少数派にとって生きにくい環境を作っているのかもしれません。社会にある“バリア”を取り除き、より多くの人が安心して暮らせるようためにはどうしたら良いのでしょう。
 
みんなが生きやすい社会作りを目指した『Bmaps(ビーマップ)』というアプリがあります。https://bmaps.world/jp
 
障がいを持つ人が直面するバリアの一つ、『情報のバリア』を解決するために、レストランなどの施設が、車いすや特別な配慮が必要な人にとって使いやすいか、といった情報を共有するアプリです。
 
日本の飲食店の内、店内に段差のないバリアフリーのお店は5.4%だといいます。決して多い数ではありません。
 
障がいがあるというだけで、行きたいお店よりも、行けるお店を選んでいる人がいるのです。
 

(この社会の中で、どんな立場の人が、どんなバリアを感じているか、参加者のみなさんでディスカッションをしました)
 
このアプリを使うことで、階段があるか、補助犬は入れるか、車いす用のトイレはあるか、車いすでも利用できる高さのテーブルはあるかなどの、非常に重要な情報を得ることができるのです。
 
『ブレーメンの調査隊』は、このバリアフリーアプリを使った参加型イベントです。イベントでは、健常者が実際に車いすに乗って街へ繰り出し、街のバリアフリー情報を登録します。これまでも全国各地で開催されてきました。
 
ブレーメンの調査隊

 

[日本財団DIVERSITY IN THE ARTS企画展]ミュージアム・オブ・トゥギャザー

 
今回のブレーメンの調査隊が、このスパイラルで行われたことには理由があります。
 
今年10月に開催される『ミュージアム・オブ・トゥギャザー展』に向けて、来場者のひとがひとりでも多く、快適に過ごせるように、Bmapsで周辺のバリアフリー情報を更新するためです。
 
『ミュージアム・オブ・トゥギャザー』は、日本財団の『DIVERSITY IN THE ARTS(http://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/diversity_in_the_arts/)』プロジェクトの一環として行われる企画展。
 
『DIVERSITY IN THE ARTS』プロジェクトでは、いわゆる「アウトサイダーアート」など、障がいのもつ人のアート作品やアート活動をサポートしています。展示に参加する作家さんは、障がいのある人もない人もいます。企画展では、みんな同じアーティストです。
 
会期中は、ギャラリーの構造自体にも、車いすでも展示を見て回れる動線が作られる予定です。そのほか『アクセス・アート・プログラム』では、視覚や聴覚に障害のある人と一緒に美術鑑賞をしたり、目が見えなくでも楽しめるように、食感や香りに工夫が施された料理を楽しんだり、知覚過敏の人のために照明を落として静かな状態をつくる『クワイエット・アワー』が用意されていたり・・・まさに、どんな人でも一緒にアートを楽しむことができる工夫がちりばめられます。
 
こうした企画展の開催に向けて、美術館の中だけでなく、その周辺でも障害のある人が楽しむことができるように、ブレーメンの調査隊を実施して、バリアフリー情報を収集することとなりました。
 

ブレーメンの調査隊、街へ出動

 
Bmapsの使い方やバリアフリーについての講義を受けた後、ブレーメンの調査隊は青山の街へ繰り出します。

参加者の中には、日常生活で車いすを使っている人や乗ったことのある人もいましたが、実際に街で使ったことはないという人がほとんどでした。表参道のあたりは小さいレストランやカフェがたくさんありますが、スペースに制約があるからか、入り口を入ってすぐに階段があるお店も多いのです。
 
道路と建物の間のちょっとした段差が、行く手を阻んだり、おしゃれなテラス席に行くにも、階段が邪魔をしたり。普段考えてもいなかったところに、多くの障がいが存在していることを発見していました。

(普段は気にもとめない段差が障がいに)
 
普段から車いすを使っている人はこう言います。
 
「バリアフリーじゃない店がいけないとは思っていませんし、全てのお店がバリアフリーになれなんで思っていません。ただ、会社の飲み会や友人との食事に誘われても、使えるトイレがあるか、段差はないか、気にかけることがたくさんあるのです。こうした人がいることを、頭の片隅にでも置いてくれれば、と思っています。」
 

おわりに

 
街での調査が終わって、参加者がスパイラルに戻ってきました。みんな口々に感想を言い合います。
 
「車いすの操作が難しかった」
「普段気にならない、道のでこぼこが気になった」
「目線が低くなるので、看板が大きく見えた」
「どこに行くにも段差が邪魔をして、行きたいところに行くにも遠回りをしないといけなかった」
 
普段の生活からちょっと目線を変わり、見えるものが大きく変わったようです。
 
皆さんも普段の生活や町並みを、いつもと少し違った目線で見ると、新しい発見があるかも知れません。社会のバリアをなくすために、皆さんもBmapsに情報を登録してみてはいかがでしょう。
 
10月に行われる『ミュージアム・オブ・トゥギャザー』は、いろんな立場の人の目線にたって、社会を、アートを考えて見るきっかけとなってくれるでしょう。
 
■[日本財団DIVERSITY IN THE ARTS企画展] ミュージアム・オブ・トゥギャザーhttps://www.diversity-in-the-arts.jp/moto
 
■『Bpams(ビーマップ)』https://bmaps.world/jp

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