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「まるで映画の『フォレスト・ガンプ(Forrest Gump)』みたいに始めはたった一人で走っていたが、今では大勢が私に合流している」:売れ残り食品の大量廃棄を禁止した(仏)デランバーシュ氏の取り組み

フランスで画期的な法律が通過
その背景には、たった一人の情熱が動かした

 

“美食の国”フランスで1日に廃棄される食糧はおよそ700万トン。
首都パリ郊外クールブボワ市の議員を務めるアラシュ・デランバーシュ(Arash Derambarsh)氏(35)はこうした事実に強い問題意識を持った。

「法学部の貧しい学生だったころになかなか空腹を満たせなかったことを思うと「怒り」に駆られる。」

引用先:AFPBB News「仏スーパー食品廃棄禁止法、署名運動は次に欧州へ」http://www.afpbb.com/articles/-/3051223?pid=0

そこで署名サイト「チェンジ・ドット・オーグ」を通じて約21万人の署名を集め、売れ残り食品の大量廃棄を禁止する法案を全会一致で可決させた。

「この法律によって、延べ床面積400平方メートルを超える店舗には、売れ残り食品の受け入れを行っている慈善団体との契約を2016年7月までに結ぶことが義務付けられ、これを行わなければ、最高7万5000ユーロ(約1000万円)の罰金が科されることになった。また、人の食用に適さなくなった売れ残り食品については、家畜の餌や堆肥として転用しなければならない。」

引用先:AFPBB News「仏スーパー食品廃棄禁止法、署名運動は次に欧州へ」http://www.afpbb.com/articles/-/3051223?pid=0

この素晴らしく、画期的な変革はいかに成し遂げられたのか?
その背景には、たった一人で行動しつづける情熱があった。

 

 

デランバーシュ氏が素晴らしいこと①
ステークホルダの本音は?…丁寧なヒアリング

 

デランバーシュ氏の素晴らしさは、第一にステークホルダ(利害関係者)への丁寧なヒアリングにある。

氏は聞き取りを続ける中で、フランスの労働階級は日々のやりくりに苦心しているものの、“困窮まではいかない程度には稼いでいる”のでフードバンクを利用していない、という重要な事実に気づく。

「食品の廃棄が当たり前となっている現状を目の当たりにしたデランバーシュ氏は、食料を必要としている多くの人々が、羞恥心や資格に相当しないという理由から、フードバンク(困窮者向けの食料配給)に行かないことを知って行動を起こした。」

引用先:AFPBB News「仏スーパー食品廃棄禁止法、署名運動は次に欧州へ」http://www.afpbb.com/articles/-/3051223?pid=0

一方で食品を廃棄する側へのヒアリングも行うことで、大手スーパーチェーン側は、廃棄食品を食べた受給者が健康を害し、訴えられることを危惧していると知る。

「一方、デランバーシュ氏が大手スーパーチェーンを訪ね、貧困者に配るために一日の終わりに売れ残った食品をもらえないかと打診したところ、断られた。店側は「(売れ残り)食品を漂白剤に漬ける方がいい」のだという。これは、店のごみ捨て場あさりをさせないための対策で、店側は廃棄処分した食品を食べた誰かが具合を悪くし、訴えられることを恐れているのだという。」

引用先:AFPBB News「仏スーパー食品廃棄禁止法、署名運動は次に欧州へ」http://www.afpbb.com/articles/-/3051223?pid=0

こうした地道なヒアリングに基づいて生まれたアイデアが、“スーパーマーケットで売れ残った食品の廃棄処分を禁止して、慈善団体への寄付を義務づける法律を作る”ことであった。

 

 

デランバーシュ氏が素晴らしいこと②…
オンライン署名で広がる共感の輪

 

丁寧なヒアリングにより問題解決への確信を強めたデランバーシュ氏は、“オンラインで署名を集める”という行動に出る。

「首都パリ(Paris)郊外クールブボワ(Courbevoie)市の議員を務めるデランバーシュ氏は1月、今回の新法を要求する署名運動を署名サイト「チェンジ・ドット・オーグ(Change.org)」で開始。約21万1000人分の署名が集まり、政府の関心を引きつけた。」

引用先:AFPBB News「仏スーパー食品廃棄禁止法、署名運動は次に欧州へ」http://www.afpbb.com/articles/-/3051223?pid=0

氏はその様子を、まるで映画の『フォレスト・ガンプ(Forrest Gump)』みたいに始めはたった一人で走っていたが、今では大勢が私に合流している」と語っている。

 

 

デランバーシュ氏が最も素晴らしいこと…
たった一人で行動しつづける熱意

 

この事例で私が最も素晴らしいと感じた点、それはデランバーシュ氏の絶えない熱意である。
何かに問題意識を持つことは比較的簡単だが、それを保ち続けることはなかなか難しい。

 

おそらく私たちの多くは、例えばスーパーマーケット側から「受給者から訴えられるのが怖いので期限切れの食品は廃棄したい」と聞かされた時点で、万一の責任追及を怖れてすごすごと身を引くであろう。

 

けれども氏はそうした状況に悲嘆することなく、地道なヒアリングで問題解決の糸口を見つけ出し、「チェンジ・ドット・オーグ(Change.org)」で仲間を増やした。

 

確かに、氏が議員であるという立場や、オンライン署名というプラットフォームの存在も変革に欠かせない条件ではあった。

 

しかしどちらかといえば、それらは、たまたま近くに転がっていた有効な道具の一つにすぎないように思える。
その証拠に、氏と同様の条件に置かれた人々、つまり議員でありネットユーザーであるような人々は多くいるが、彼らはそのような変革を為してはいないのだから。

 

さらには同じ署名を欧州全土で立ち上げようとしているという。
デランバーシュ氏の絶えない熱意は国境を越え、さらに多くの人々の心に火をともしながら、変革の輪を広げていきそうだ。

 

引用先:AFPBB News「仏スーパー食品廃棄禁止法、署名運動は次に欧州へ」http://www.afpbb.com/articles/-/3051223?pid=0

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