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2016.03.12.Sat

障害という概念は、社会環境が勝手につくっているものではないか?ダイアログインザダークの取り組み

視覚障害を持つ知り合いがあなたにはいるだろうか?

私たちは、障害を持つものを弱者と捉えて、支援をするという考え方をするケースが多い。
チャリティにおいて非常に重要なことは、過去の記事でも同様のことを記載しているが、
「偏見、思惑、常識に囚われないで物事を見ること」がだと思う。
スラムにできた美術館 DESIGN MUSEUM DHARAVI

「障害」ではなく、「視覚がない状態」は、何か生み出すことができないか?
そのような捉え方が、世の中に新しいものを生み出す可能性を秘めていると思う。

「視覚がない状態」を新しく捉えなおし、ビジネスに繋げたケースがある。
ダイアログインザダークである。

ダイアログインザダークは、これまで、全世界39カ国、130都市以上で開催され、2015年現在で800万人を超える人々が体験しています。

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、
暗闇のソーシャルエンターテインメントです。
参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、
暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、様々なシーンを体験します。
その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、
そしてコミュニケーションの大切さ、人のあたたかさを思い出します。
「視覚がない状態」だからこそ、全く新しいコミュニケーション体験をすることが可能になる。発案者である、哲学博士 Andreas. Heinecke(アンドレアス・ハイネッケ)も以下のように言及している。
現在の物質的に豊かになった世の中では、人間は倫理と人道的な価値観とを損ないがちであり、利己主義になる。しかし暗闇のなかで人間は誰でも平等であり、それぞれの中にある根本的な価値観を思い出し、謙虚さや感謝を甦らせることができる。困難に直面しても、お互い協力し合えば一緒に乗り越えられることを誰でも知っている。それをダイアログ・イン・ザ・ダークを通して実際に体験できる。
人は、最初やみの中に入ると、ショックを受け、不安になり立ちすくんでしまいます。全く違う環境に放り出されて恐怖を感じるわけです。人間はこうした不安や恐怖を打ち消そうと躍起になりがちなのですが、本来、不安や恐怖というのは人間がごく普通に持つ感情です。しばらくすると不安な状態を受け入れ、それを打開するための方策を探し始める。ガイドの方に声を掛けられ動き始めて、視覚以外の感覚を使うことを覚えます。手でまわりを探ったり、匂いをかいだり、またまわりの空気の流れも感じ始める。そして同じグループの人たちと声で情報を交換しあって、まわりの状況を把握していく。
この環境を作るため、ダイアログ・イン・ザ・ダークは1人ではなく、6~7人のグループで動くように設定してあります。
視覚に頼っているときよりも、はるかに素直に話ができることに驚くはずです。全く違った環境の中で不安を感じながら、自分の五感や人との関係を再認識することから他人や自分との対話が生まれてきます。
同様に、Andreas. Heineckeは、障害という概念は、社会環境が勝手につくっているものだと考えている。ダイアログインザダークを考えるに至ったきっかけについて、以下のように言及している。

1986年、私がラジオ局で働いているときに、事故で失明した若いジャーナリストの採用が決まり、私が彼の教育係に任命されたのがきっかけです。そのとき私は、きっと誰もがそうだと思いますが、この障害者の若者とどう接していいかわかりませんでした。その少年が不安だったように、自分も不安だったのです。

どこかに彼をかわいそうだという気持ちがあるわけです。しかしつき合っていくにつれ、自分の認識が間違っていたことに気がつきました。とてもショックだった。目が見えないということは、病気でもないし、人より貧しい、そして貧困であるということではない。健常者と比べられない、比べてはいけない世界があることを知ったのです。彼らには健常者の持っていない可能性があることにも気がつきました。
2年間の彼とのつき合いで、むしろ私のほうがいろいろなことを彼から学びました。この少年の目の見えないことによる強み、私の持ちえない新しい繊細な感覚、そうしたことから見えない少年自身が見えていること。そこでわかったのは、彼らの生活は、同情したり卑下するものではなく、素晴らしいものだということだったわけです。

このような捉え方の変化は、もちろん、視覚を持たない方々の捉え方も新たにする。ダイアログインザダークでは、視覚を持たない方々は、「暗闇のエキスパート」になる。

ダイアログ・イン・ザ・ダークに参加するとくらやみの中で視覚障害者の方たちはごく普通に動けることがわかる、当たり前なのですが(笑)。普段と立場が逆になるのです。このことが、とても大切だと思っています。

この経験によって参加者は、自分が普通の人ではないことに気がつく。なぜなら、この中では、目の見えない人が当たり前で、目の見える人は当たり前でないというように、立場は環境によって、変わりうるということです。

「そのものをあるがままに見ること」
「分かった気にならないこと、分からないものがあることを理解すること」
「事実、特長を理解すること」

チャリティをもっと効果的に、楽しく、有意義にする為に、必要な視点を、ダイアログインザダークは教えてくれる。

引用先:ダイアログインザダーク Dialog in the Dark TOKYO 長期開催にあたり(2009.3)

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