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2016.04.30.Sat

女性が受け入れられやすい社会を作れば男性も結果的に楽になる。

女性呼吸器疾患に対する最新の知識の普及などを実施している特定非営利活動法人 女性呼吸器疾患研究機構の宮元様にお話を伺いました。

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宮元秀昭氏

NPO法人女性呼吸器疾患研究機構理事長。研究機構を通じ、女性呼吸器疾患に対する最新の知識の普及などの啓蒙活動などを行っている。http://www.wored.or.jp/index.html
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女性と男性とでは呼吸器に「性差」がある。

 

私の専門は呼吸器ですが、近年、子宮内膜症が原因で女性が気胸を発生するケースがあることが分かってきました。色々なケースを見ている中で、どういうわけか子宮内膜症が原因で肺が悪化する、気管支が悪化する、炎症を起こす、出血が起こる…。これはもしかしたら、女性特有の呼吸器疾患があるのではないかと思い調べ始めたのがNPOを設立したもともとの動機です。

そもそも昔は呼吸器疾患の原因がタバコにあることが多いために、男性の病気というイメージが強く、女性はあまり呼吸器外来を訪れない傾向でしたが、最近では状況が変わってきています。

それは、最近、診察時にCTを撮ることが増えたのが要因の1つです。CT撮影によって、X線写真には写らないような疾患も見つけることが出来るようになったのです。特に女性の場合、高分解度CTを用いると、肺に磨りガラス状の淡い陰影を発見することがあります。

その磨りガラス状の陰影が大きくなって肺がんになるのではないか、その磨りガラス状の陰影が女性の肺がんの前がん病変なのではないかということが、段々分かってきたのです。

さらに、それがタバコを喫煙していない女性に多いということがわかりました。喫煙しているわけではないのに、なぜそのような現象が発生するのか? こうしたことからも、男性と女性の呼吸器における「性差」に着眼するに至ったのです。

そして、上記について研究し、分かったことを広く世の中に発信するために設立したのが、「女性呼吸器疾患研究機構」です。

女性の呼吸器は男性より弱い。

女性のタバコ1本は男性の5本に相当する。

 

研究を通じてわかってきたこととして、象徴的なのは、「COPD 慢性閉塞性肺疾患」についてです。COPD は、別名タバコ病とも言います。しかし、必ずしもタバコを吸わなくてもCOPDを発症する女性がいらっしゃいます。

原因を調べていくと、男性と比較して女性の気管支が細く、肺が弱いのではないかということが分かってきました。また、女性の方が「喫煙感受性遺伝子」を男性よりも多く持っているということも分かってきました。

自分は吸わなくても、他人のタバコの煙とか、下手をすると、大きなレストランで誰か一人がタバコを吸っていても、女性がそのような疾患を発症してしまう可能性があります。

さらに、女性でタバコを吸っている方の肺は非常に弱いです。

女性の方が吸うタバコ1本は男性の5本に相当します。したがって「私は1日に4~5本しか吸っていない」と言っても、男性換算ですと20~25本も吸っていることになります。

 

女性が受け入れられやすい社会を作れば

男性も結果的に楽になる。

 

リンパ脈管筋腫症(LAM)という病気があります。

LAMは、ほとんどは妊娠可能な年齢の女性が発症する病気です。肺では、LAM細胞が両側の肺に散在して増加し、それに伴って肺にのう胞と呼ばれる小さな穴が複数でき、進行した場合は息切れなどが生じます。やがては呼吸不全という状態になり、酸素療法が必要となり死に至ることもあります。 そうなると現在のところ肺移植以外に助かる方法はありません。

こちらの原因は、遺伝子疾患であるということが分かっています。

ただし、代々引き継がれる生まれつきの遺伝子疾患とは違います。突然変異や遺伝子自体が変化する、発がん物質などの影響、さらには環境なども関係するのかもしれません。その点はまだ正確には分かっていないのです。

家庭と仕事の両立をこなす女性が増えています。そういったストレスが影響を与える可能性も否定できません。

そう考えると、女性の性差を理解してケアする社会を考えてもいいかとは思います。思うこととしては、女性が受け入れられやすい社会を作っていけば、結果的に男性も楽になるのではないかということです。だから、女性が活動的に働く社会が望ましい。

男性が活動的な社会になると、女性の活動が押さえつけられてしまい、男性の中でも差別が発生して、窮屈な社会になると思います。

女性は呼吸器が弱いということ、その自覚を持つことが大事。

 

40代以上の女性の皆さんにメッセージとしてお伝えしたいのは、「もともと女性の呼吸器は男性より弱い」ということと、「年齢的に女性ホルモンが変化するタイミング」ということです。すなわち、この年代の方々は、とくにホルモンの影響で呼吸器が悪くなってしまう可能性が高いということです。

がんがないか、呼吸器系に問題がないか、この年代の女性には、是非一度、胸部CTを撮影して頂きたいと思います。自覚症状がなくても診察を受けることをお勧めますし、もしも気になる症状があれば、呼吸器内科でしっかりお調べになるべきでしょう。

ご自分が呼吸器の悪化するリスクが高い時期にあるということ、そしてその前提として、女性は呼吸器が弱いという自覚を持たれることが大事だと思います。

 

※このインタビューは、2015年10月13日にて、チャリティジャパンのサイトにて掲載したものを再掲したものになります。

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