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ダイアログ・イン・ザ・ダーク

突如何も見えない暗闇に放り込まれたら、あなたは何を感じるだろうか?

 

普段当たり前に持っている感覚を失うこと。その感覚が当たり前であればあるほど、簡単には想像できない。『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』は、そんな視覚を失われた状況を、エンターテイメントとして提供している。
 
1988年、ダイアログ・イン・ザ・ダークは、ドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案により誕生した。以来、39カ国で提供されている “暗闇のソーシャルエンターテイメント”である。ダイアログ・イン・ザ・ダークでは、参加者が8人のグループになり、暗闇に放り込まれる。そこでのガイド役は、“暗闇のエキスパート”である視覚障がい者だ。
 
明かりのある世界から、急に暗闇に世界に行けば、不安や恐怖があるだろう。しかし、人はそれを乗り越えるために、だんだんと視覚以外の能力を研ぎ澄ましていく。そうして研ぎ澄まされた感覚と共に、参加者は普段とは違う特別な体験をするだろう。
 
創設者のハイネッケは、『障がいを創っているのは社会環境である』という。
彼がこの考えに至り、この事業を始めたきっかけは、一人の視覚障がい者の部下をもったことにある。彼の上司となり、初めはどのように接していいかわからず、不安に思ったそうだ。しかし、部下と共に過ごす時間が長くなるにつれ、『健常者と比べられない、比べてはいけない世界があること』に気がついたという。障害があると言うことは、貧困や病気とは違い、全く別の日常がある。同時に彼らの持つ、秘められた可能性にも気づいたそうだ。
Dialog in the dark TOKYO 長期開催にあたり
 
私たちが普段過ごしている社会は、目が見えることが前提とされている世界である。一方、ダイアログ・イン・ザ・ダークでは、誰もが視覚を失った世界に放り込まれる。普段の世界では、ガイドを必要とする視覚障がい者だが、ここでは立場が逆転する。
 
視覚障がいをもった人は、支援が必要なかわいそうな人々なのだろうか。ほんの少し見方を変えると、彼らは“健常者”の想像を超えた世界に生きる、可能性に満ちた人々ととらえることもできる。
 
社会の“当たり前”から一歩引いて、物事をあるがままに見ると、世界がちょっと違って見えるかもしれない。
 
ダイアログ・イン・ザ・ダークは、チャリティに大切な視点を教えてくれるだろう。

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