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このままでは狭山茶はなくなってしまう? 狭山茶が直面している課題とは?

狭山茶のやまもり本店 http://www.yamamori-honten.co.jp/ 森田さん

狭山茶がこのままではなくなってしまうかもしれない・・・・

編集部に寄せられた声に、狭山出身のスタッフが関心を持ち、今回の取材が実現しました。地元の象徴でもある狭山茶に、今、何が起こっているのか?

お茶問屋であり、様々なお茶農家の現状をよく知る「狭山茶のやまもり本店」の森田さんにお話をお伺いしました。

跡継ぎがいなくて狭山茶のブランドがなくなる?
売り上げが立たず、将来の見通しが描けない構造に

-狭山茶を取り巻く課題は何でしょうか?

森田さん:

耕作放棄地が増えていて、跡継ぎがいないということです。全国的にみると若手はいるの ですが、どんどん減っています。

例えば、私たちがいる新久(あらく)という地域で荒茶農家さんは11軒あるのですが、跡継ぎが確実にいて継続できると断言できる農家さんは、今のところ、ほとんどありません。

売り上げが落ち込んでおり、普通にやっている分には、今後、売り上げが伸びる見込みも薄かったり、さらに震災があった際に、約10年分の売り上げの落ち幅がありました。Googleなどで狭山茶と検索された際に、セシウム・放射能という言葉が続けて出てきてしまうことも大きいと思います。

幸い市内に大手業者が入ってくれて、耕作放棄地を借りてくれて、広げてくれているケースもあります。景観維持などの面で狭山茶を支えてくれているのですが、契約期間が単年であるケースがあったり、加工した荒茶で販売するのではなく、ペットボトルのお茶を作る為の茶葉での販売になる為、販売価格が安価であったりと難しい面があります。(加工をしてから販売をした方が高値で取引できます。)

また、大手との取引の場合、自分の好きなお茶も作れなくなり、それがストレスになるケースもあります。大手は、収量を求めるので、好きなタイミングで摘むことが出来なくなり、どんどん作業的な話になっていきます。技術も失われ、愛情のない生産者になってしまうリスクがあります。

お茶の消費量が下がった要因は、
急須、ペットボトル、贈答の文化の衰退、急須がないことかもしれない

-狭山茶を維持する為には、お茶自体の市場が活性化していく必要がありますね

森田さん:

皆さんのお家に急須はありますか?

実は、お茶の市場の衰退の原因の一つは、急須ではないかと思っています。急須って面倒ではないですか。それに、あまりおしゃれではない。でも、あれだけお茶を美味しく入れることが出来るもので、変わるものの道具が出てきていない。明治とかの浮世絵にもう既にあの形の急須が出てきています。昔から比較して、ほとんど進化していない。傘と一緒ですよね。

お茶屋さんで購入する文化が変わってきた象徴として、贈答用が減ってきていることがあります。『うちで飲むのは、これくらいの値段だけど、贈るのは、高いものを送ろうか』というように使われていましたが、お中元、お歳暮、お年賀という文化が衰退してきている。隣近所に挨拶をしなくなっているなど、人との付き合い方が変わってきているのもありますね。

急須が使われていない、ペットボトルのお茶が中心になっている、お茶を送り合う文化がなくなっているなどの変化に対して、新規の顧客を見つけていく必要があると考えています。

フィルタリングボトルなど、新しいことへの挑戦が突破口になる

-新規の顧客を見つけていく為に注目している取り組みはありますか?

森田さん:

一つは、フィルターインボトルです。急須の代わりになるもの。これなら家に置きたくなるものだと思います。茶葉を直接入れてもらって、水入れてもらって、一晩、水出しするだけで美味しいお茶が出来ます。フィルターインボトルが売れれば、お茶の消費量が増えると思っています。

フィルターインボトル http://www.hario.com/pickup_fib.html

お茶って値段が高いと思っている方も少なくないとおもいます。しかしこのボトル容量が750mlなんですが使う茶葉は10~15gで美味しく淹れられます。
ということは、100gで1000円のお茶を使っても1回100~150円で済むのです。ペットボトルの値段と変わらず更に美味しいものが飲めるのです。
こういう物やティーバッグを入り口として急須に辿り着いてくれれば嬉しいなと思います。

更に今地元で新しいお茶に関する取り組みをしている増田さんや的場さんに注目しています。(耕作放棄地を使って新しい商品を使ったり、食べれるお茶を作ったり、カフェを作ったりされています。)彼らが突破口で全体に波及してくれればと思っています。

とはいえ、うちとしては、今、抱えている農家さんを守っていかなくてはいけないことが前提です。うちの商品は、どこに出しても誇れるものを造っているので、そこは質を落とさず、周りの農家さんとお互い信頼をしつつ、小売店の方からも納得してくれるものを収めるということを大切にしていきたいと思っています。

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