この本を読んで最初に思ったことは、まさに講習会でお話を聞いているような、わかりやすく優しい文体だなということでした。私は高森さんに直接お会いしたことはありませんが、高森さんの人柄が伝わってくるような気がしました。
そして、その内容が、高森さん自身が相談を受けたお話や、家族会の皆さんと考えて導き出した答えなど、実際のケースが元になっているということが、机上の空論ではなく、説得力のある内容になっているのだと思います。
ざっくりと内容を紹介しますと、統合失調症の方はどのようなことで苦しみ、それに対して家族の方はどのような対応をすればよいのか、ということが、具体的に書かれています。
例を挙げると、統合失調症の方のうち75%の方が、幻聴に悩まされているそうです。幻聴というのは、本人にしか聞こえません。いくら周りに相談しても、理解してもらえないのです。家族の方も、そこでどう接したらよいのかわからなくなり、家族間でギクシャクしてしまうわけです。
高森さんはこの本の中で、とても大切な三つのこととして、1. 「あなたは私にとって、とても大切な人・大切な宝物だよ」と伝えること。2. 生きているだけでりっぱです、と認めること。3. 相手の気持ちをわかってあげること。を挙げています。それを実践するための方法として、表紙に載っている「アイラブユーのサイン」や、「私メッセージ」など、高森さんならではの方法が紹介されています。
この本は、統合失調症の方、その家族の方を対象に書かれていますが、普段の人付き合いの中でも、同じことが言えると思うのです。例えば、他人の気持ちを100%理解することはできなくても、理解しようと努力することはできる、フィルター(決めつけ、思いこみなど)ごしに他人と接しては、本来気づくはずのことも気づけない、など。
統合失調症で苦しんでいる当事者の方や家族の方はもちろんですが、身近にそういった方がいる、という方にもぜひ読んでいただきたいです。その方たちが、どれだけ大変な思いをしているのか、理解しようとするキッカケになると思うからです。
また、この病気は自分とは無関係だとは思わず、自分が同じ立場だったら、と思って読んでいただけたなら、より理解が深まると思います。
発達障害を理解したいと思っています。とてもわかりやすい記事でした。