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難民問題を明るく気軽に知ることのできる映画「ソフラ」

みなさんも「難民」という言葉を耳にすることがあると思いますが、その正確な定義や、彼らが普段どのような場所でどのような生活を送っているのかについては、あまりご存じないのではないでしょうか。 そんな難民の暮らしの実情や、彼らが日々抱いている夢や希望を描いたドキュメンタリー映画が「ソフラ」です。


エル・グウナ映画祭(2017) Mentor Arabia 賞、 Cinema for Humanity Audience 賞を受賞した本作品は、UNHCR難民映画祭2018で日本初上映されます。

舞台は中東レバノンの難民キャンプ。ここには周辺のアラブ諸国から逃れてきた難民たちが暮らしています。 映画の冒頭で映し出されるのは、難民たちの住居となる古めかしく無機質なコンクリートの建物、その合間にある人々がすれ違うのがやっとという幅の狭い通路、その頭上に無秩序に垂れ下がるおびただしい数の電線などの難民キャンプの外観です。

キャンプといってもテントが張ってあるわけではなく、一見したところ、みすぼらしく狭苦しい住宅街といった印象を受けます。 難民たちはこの限られた地区から、ほかの地域に自由に転居することを許されておらず、ここで生まれ育って何十年にもなるという人たちがいること、さらに、キャンプ外の一般の人々とは、法的な扱いが異なるので、仕事を得ることも、十分な教育を受けることも、より難しい状況にあることなどが語られます。

そんな中、自分たちの生活を少しでも変えようと、新しいことに挑戦しようと立ち上がった女性たちがいます。 リーダーのマリアムを中心に、キャンプの女性たちが集まって、自分たちの得意な料理の腕を活かして、ケータリングビジネスを始めることにしたのです。 彼女たちの料理の腕は確かなのですが、難民ゆえの法的な障害が多く、なかなか前に進むことができません。 難民でも女性でも自分たちで仕事を持ち、生活を向上させたいという夢や希望を実現させるべく彼女たちの奮闘は続いていきます。

この映画を見どころは、やはり、難民たち特に女性たちが、日々どのような希望や願いを抱いて暮らしているのか、その実情を垣間見れること、また、彼女たちが難民ゆえにさまざまな法的な制約を受けていることなどを知ることができるところだと思います。 また、アラブの女性たちのたくましさや、陽気さなども伝わってきて、イスラムのステレオタイプの女性のイメージを払しょくする作品とも言えるかもしれません。

彼女たちが料理を作るシーンが美しく映し出されている点も、この映画の良いところで、 アラブ料理には、いろいろな種類の料理があることや、その見た目がとてもおいしそうなことなど、この映画を通して出会う新しい発見があると思います。 映画を見た後に、自分の住む町のアラブ料理店をネット検索する人は、多いのではないでしょうか。

難民映画というと重い苦しいイメージがあると思いますが、この映画は、紛争による死傷シーンなどが一切なく、どちらかというと明るいタッチで描かれているので、難民問題を知るための入門作品としては、うってつけの気軽に見れる作品になっていると思います。ぜひ、お子さんなども含め、みなさんで会場に足を運んでみてはいかがでしょうか。

映画「ソフラ」の上映情報は以下からご覧いただけます。
UNHCR難民映画祭2018
http://unhcr.refugeefilm.org/2018/soufra/

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