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日本の地域農業に希望を与える、モデルケースを創りたい。

Note 代表 加藤 秀樹
(有限会社 加藤ファーム 代表取締役)

地域農業の活性化を目的に「Note」という非営利組織を立ち上げた加藤さん。実は、同日にお話しを伺った「株式会社やまもり本店」の森田さん「増田園本店」の増田さんも「Note」メンバーとのことで紹介をいただき、今回のインタビューが実現しました。「Note」が目指すビジョンとは一体!? 入間市の農業の実態とともに、余すことなく語ってもらいました。

-「Note」設立の背景について、まずはご紹介いただけますか?

加藤:

「Note」の設立は、約二年前。メンバーは私と、森田を含む茶業者2名、地域農業に関心を持つ知人の計4名となります。現在の入間市における農業従事者を、農業経営体数(※1)で見た場合、全体で約490件。その内300件ほどが茶業者で、残りが穀物や野菜類の農家で占めています。私は現在、大豆や菜種、ゴマ等の穀物類を栽培し、味噌や菜種油等の加工品の製造・販売を手がけているので、市内では少数派ですね。ただ、市内の農業従事者のほとんどは、共通の問題意識を抱えていると感じています。それは、狭山茶を筆頭にした“地域農業の衰退”です。

茶業の衰退は、茶畑の減少という目に見える形で実感しますし、穀物・野菜類もそれは同じです。昔、入間市はごぼうが産地だったのですが、今や見る影もありません。「狭山茶ブランドの復興を中心に、地域農業を活性化させなければ、いずれ市内から農業が消滅してしまう」。そのような危機感からメンバーを募り、「Note」を設立したのです。

※1:農産物の生産を行うか又は委託を受けて農作業を行う者(諸条件あり)

深刻な後継者不足。耕作放棄地…。解決すべき課題は多い。

-市内で農業に携わっている方は、どのような問題を抱えているのでしょうか?

加藤:

まずは深刻な後継者不足が挙げられます。お茶が最たる例ですが、消費者のニーズが減少している昨今、跡取りとなる若者は、皆一様に農業に希望を持てておりません。また、後継者が育っていないため、市内の至るところに耕作放棄地が見受けられます。若者を農業に振り向かせるためには、どうすればいいか。私はやはり、「農業で利益を出す道筋」や「農業の明るい未来像」を彼らに提示してあげることが必要だと感じています。例えば、ゴマ。現在流通しているゴマの国産生産比率は、0.1%にも届いていないのが現状ですが、私はそこに大きなビジネスチャンスを感じています。

国内で流通するゴマを10%以上生産できれば、可能性として“価格決定権を掌握できる”ため、例えば大型機械を導入・活用することで、ゴマの大量生産にシフトチェンジする、といった取組みも有りだと思っています。10%と聞くと途方も無い数字に聞こえますが、資本や人材を集中して投下すれば、20ヘクタール(東京ドーム4個分)もあれば達成可能です。どうです? このような話を聞くと、少しワクワクしてきませんか。考え方や視点を変えるだけで、私は農業も他の産業と同じように、希望が持てる業態だと考えています。

日本の地域農業に希望を与える、モデルケースを創りたい。

-「Note」の今後のビジョンをお聞かせください。

加藤:

ずばり、若者向けの「農業研修プロジェクト」の立ち上げです。

一度も農業に携わったことは無いが、イチから農業にチャレンジしてみたい、そんな高い意欲を持つ若者を県内外から募り、市内の農業従事者が培った“農業ノウハウ”を伝授する試みです。具体的には「NOTE」が窓口となり、新規就農希望者に私たちのプロジェクトに賛同している農家をご紹介。そこで約2年、農業のイロハを学べる研修を受講いただきます。また、ノウハウだけではなく、条件付きではありますが、実際に農業を行う際の土地や諸々の機械、必要であれば住まいとして空き家等も提供する方針です。

本プロジェクトは行政の協力が不可欠ですが、幸いにも「NOTE」のビジョンをご理解いただき、目下、行政担当者とともに話し合いを進めています。プロジェクトが立ち上がり軌道に乗れば、市内の農業問題・空き家対策・治安維持をまとめて解決できるのはないかと考えています。

従来、農業に強い興味を抱き、いざ仕事として取り組もうとすると、土地も工作機械もゼロから仕入れる必要があり、大きなリスクが伴いました。そのリスクを最大限私たちが取り除くことで、農業従事者が増え、地域農業が活性化していけば良いですよね。また、本プロジェクトが今後、地域の農業問題を解決に導くモデルケースとなり、全国的に波及していけばこれ以上嬉しいことはありません。農業を専門にした派遣会社の創設等、「Note」で叶えたいビジョンは他にもたくさんあります。若者が農業に希望を抱けるよう、今後も様々なプロジェクトを推進していきたいですね。

-ありがとうございました。

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