ようこそ、ソーシャルスタンドへ

民間と行政共同勉強会レポート

2月某日、NPOなどの組織で働く職員と市役所などで働く公務員が、ざっくばらんに現状を話しながら勉強をする会に参加した。この会は川崎市で年に4回程度完全自主制。参加費は資料代等で100円、福祉や教育や行政に関心がある人なら私のような一般人でも参加できる。

 

福祉と教育ってもっと横の連携が必要だよね、という気付きから始まった勉強会。例えば、生活保護を受けている家庭を学校の先生は知らないことが多い。逆に役所(ケースワーカー)は生活保護を受給している世帯主とは会うがその子供とは一度も会ったことがないということも多いという。
定時制高校の先生は生徒の家庭環境まで目を配り、できる限り手助けをすることもあるという。しかし全日制高校の先生では生活保護についてもほとんど知らず、家庭環境まで知ろうとしないことが大半だという。

先生ばかり責めても仕方がない。教育と行政(役所)が連携するシステムを国もしくは行政が作ればよい。そのためには先生や学校職員やスクールソーシャルワーカーなど人員増加が必須になる。

連携がとれないと何が起こるか。例えば、高校生のアルバイトによる不正受給。

生活保護は国民の税金でまかなわれているものであり、生活保護費は生きていくための最低金額として定められている。見方をかえると働いて稼いだ分では足りないから、足りない分生活保護を受給する。最大受給額が20万円であればアルバイトで5万円稼いだ場合、15万のみ支給される仕組みだ。先に20万円もらった場合は、アルバイト代5万円分国に返金しなければならない。アルバイトなど収入があることを黙っていた場合は不正受給となり、返金が義務づけられる。
大半の高校はアルバイトをする際、許可証を提出するよう校則で定められている。だから高校側は生徒がアルバイトをすることは知っていても、行政はその生徒と一度も会っていないため知らない。そもそも生徒(子供)が自分の家が生活保護を受けていることを知らないケースも少なくないという。(※「健康で文化的な最低限度の生活」という漫画(2、3巻)にこのエピソードがある。具体的な状況を知りたい方はぜひ読んでみてほしい。)

 

生活保護の見直しが近年行われ、相対的に受給額が下がった家庭が多い。しかし、融通が利くようになった面もある。高校生の場合、アルバイト代を部活や修学旅行費に充てることができる(この費用に限り生活保護の減額はない)。高校卒業後の進学のために限り、アルバイト代の貯金が認められる。生活保護世帯のままだと高校卒業後進学が出来ないが、家族と一緒に暮らしながら(同じ住所)世帯分離をして進学することは認められている。高校の先生がこういった知識をもち、生徒に進路のアドバイスが出来たらどんなによいだろうか。

 

公務員でない民間の私たちができることは生活保護へ正しい理解だ。生活保護世帯の増加、不正受給など、ニュースでは悪い面ばかりがクローズアップされている。実際、補足率(生活保護基準以下の世帯で、実際に生活保護を受給している世帯数の割合)は20%といわれている。また生活保護世帯の増加の原因は、高齢者世帯の増加である。高齢者以外の世帯の生活保護受給率はむしろ低下している。ということは、生活保護の受け方も知らず人知れず困窮している家庭が身近にいるかもしれないということだ。

 

一時期生活保護を受けて心身ともに回復に務めれば、また元気に働ける日が来るかもしれない。大事なのは、知ろうとして正しい知識を得ること。よりよい社会に変えていくためにまずはこれを心がけることではないだろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です