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京都でもスタート!広がる新しい暮らし、「次世代下宿」とは

いま、生まれ育った場所から離れて暮らすことは一般的なことです。でも本当に暮らしたい場所を自由に選べているでしょうか。人間関係や仕事、そして収入などを理由に、どこかで自制のブレーキをかけている人が多いのではないでしょうか。

これからご紹介する「次世代下宿」という新しい取り組みは、「暮らすこと、学ぶこと、働くことを、もっと自由に選べる未来」へのひとつのアイデアかもしれません。

 

見知らぬシニアと若者が、ひとつ屋根の下で。

 

早速ですが、「次世代下宿」とは何でしょうか。次世代下宿を経験したある2人の言葉に、「次世代下宿」がどのようなものであるのかをシンプルに表現されていましたので紹介します。彼らへの質問は「始めてみて変わったところは?」でした。

「(男子大学生)一番変わったところは、寝坊がなくなったところです(笑)朝ごはんをご一緒させていただいていまして、ごはんの時間になると声をかけてもらっています。本当に助かっています。」

「(シニア男性)生活スタイルは以前と変わりません。しゃべらなくても居てくれるだけで全然違います。孫だと思っています!」

引用:ホームシェアプロジェクト福井年次報告 たすかりすnews 2013

勘が鋭い方は、なんとなく想像できたのではないでしょうか。次世代下宿とは、学生などの若者が空き部屋を借りて、独居シニアの家主と生活を共にする住まい方のことです。NPO法人リブ&リブによると、1999年にバルセロナで開始され、猛暑で多くの独居シニアが亡くなったパリでも導入され、今では、欧米で数千世帯の同居生活が生まれています。

最近では、高齢化社会における地域活性のアイデアとして、日本の行政からも注目が集まってきています。こうしたなか、今年2月には、「京都新聞:高齢者宅に若者下宿のススメ 京都府、孤立防止狙う」によると、京都府も「次世代下宿」の取り組みを開始しています。

 

シニアと若者と、そして町にもいい

改めて、次世代下宿は、どんないいことがあるのでしょうか。

実際に京都府の「次世代下宿」事業に手を上げて、委託事業者として選ばれたaddSPICE(アドスパイス http://addspice.jp/)は、そのメリットを以下のようにまとめています。

【シニアのメリット】
①空いている部屋を貸して収益を得る
②若者と一緒に住み、知識や新たな経験を得る
③防犯面で安心
④若者の手助けとして社会貢献になる

【若者のメリット】
①比較的低廉な賃料で、設備や立地など質高い居住空間を借りられる
②一人で住むより京都らしい知恵や知識を得られる
③シニアを見守り社会的貢献になる

【まちへのメリット】
①優秀な若手の流出を防ぎ、流入を増やす
②若者がまちに入り込めるきっかけが生まれる
③空き家化を防ぐ
④災害時受け入れ住宅のネットワークづくり」
引用:addspice 次世代下宿事業

もう1歩、ふみこんで。暮らすこと、学ぶこと、働くことを、もっと自由に選べる未来に向けての課題

もう少しふみこんでみましょう。様々なメリットや期待が込められた「次世代下宿」という取り組みですが、まだまだ、”これから”なのも事実です。

① 呼び方がバラバラ…。

散々「次世代下宿」と呼んできましたが、事例の少ない取り組みなので、一般に公開されている情報はとても少ないです。そのなかで、より詳しく知りたい、利用を検討したいと考えている方に、知っておいて頂きたいことは、「まだ呼び方が定まっていない」という事実です。

運営団体によって、呼び方がバラバラです。事例が少ない取り組みなので情報がとても少なく、もっと詳しく知りたい、利用したいと考えている方には、不便です。現在、「学生をはじめとする若者が空き部屋を借りて、独居シニアの家主と生活を共にする住まい方を進める取組み」は、それぞれ以下のように呼ばれています。

「次世代下宿ソリデール事業」 addSPICE(京都府)

「世代間交流ホームシェア事業」 NPO法人リブ&リブ(東京都)

「ひとつ屋根の下プロジェクト」 NPO法人街ing本郷(東京都)

「異世代ホームシェア事業」 たすかりたす。(福井県)

呼び方が決まっていないことで情報が探せないだけでなく、取り組みの認知や普及を妨げているように感じています。今後、行政を挙げての取組み事例が増え、メディアへの露出も増えれば、自然と耳にする機会が多くなり、少しずつ呼び方が定まっていくことを期待しています。

②若者=“大学生”を対象だけでいいのか?

「次世代下宿」にそれぞれ取り組んでいる団体のウェブサイトにアクセスしてみると、主として“大学生”を対象としたサービスだとわかります。

「NPO法人リブ&リブが行っている「世代間交流ホームシェア事業」は、 日常的にあまり接点のない、シニアと大学生の同居によって、 新しく生まれる「血縁をこえた絆を作る」ことを目的としています。」
引用:NPO法人リブ&リブ 活動内容

「ひとつ屋根の下プロジェクトはシニアと若者の共生を目指すプロジェクトです。
このプロジェクトは、大学生・大学院生が、文京区のシニアの住む家の空き部屋を借りてともに生活します。」
引用:街ing本郷:ひとつ屋根の下プロジェクトとは

これが大学生だけでなく、上京、もしくは、地方へ移住したい様々な若者が利用することができるサービスになればいいなと思います。

例えば、単身の若者が地方へ移住することを考えてみましょう。地方では、意外と求人はありますが、1人暮らし向きの賃貸が少なく、家族向きの物件のみで、家賃が月6万円~なんてことが多々あります。こうした地域に「次世代下宿」が導入されれば、移住を希望する若者が、月2~3万円程度の家賃で暮らすことが出来、日々の生活費を安く抑えることができます。さらに、同居しているシニアを介して地域コミュニティへもスムーズに参加できるのではないでしょうか。

③やっぱり不自由さもある?

そもそもですが、他人と同居する不自由さもあり、誰でも気軽に利用できるサービスというわけではないかもしれません。こうした“不自由さ”については、複数団体で一定のルールを決めたり、利用者の相談役になる新しい仕組みや組織も必要となってくるでしょう。

これから「次世代下宿」は、より社会的に認知されたものとなり、上京する大学生や若者、また地方へ移住する若者が利用できるサービスとして成長する可能性を秘めています。「暮らすこと、学ぶこと、働くことを、もっと自由に選べる未来」へのひとつのアイデアとして、「次世代下宿」のこれからに注目していきたいと思います!

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