難民映画祭とは
「観る、という支援。」をテーマに、今年も9月7日よりUNHCR難民映画祭が開催される。
2006年から毎年開催されているこの映画祭は、日本での難民問題啓発を目的として、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所、および、日本におけるUNHCRの公式窓口である国連UNHCR協会により行われており、今年で13回目を迎える。
国連の機関である国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)http://www.unhcr.org/jp/ は、1951年に発足し、今や世界130ヵ国で約11,000人を超える職員が、難民の保護活動にあたっている。保護の対象者である難民、庇護申請者、帰還民、無国籍者、国境を越えずに避難生活を続けている国内避難民の一部は、2017年12月末時点でその数6850万人にも上る。
現在の日本では、残念ながら難民の現状を身近に感じられる機会は少ない。映画祭は、その日本で、難民一人ひとりの、厳しい状況や逆境に立ち向かう強さなど物語を日本で伝えるべく開催され、毎年、会場各地から多くの支援が生まれている。
今年のテーマ「観る、という支援。」は、遠い存在である難民について、まずは映画を観る、というところから、を理解の第一歩であり、ひとつの支援ととらえ、より多くの人に関心を持ってもらうことを目的としている。
映画祭概要と申し込み
難民映画祭2018は、9月7日の東京上映を皮切りに、東京、札幌、名古屋の3都市、4会場で開催される。申し込みはウェブサイト、往復はがきにて。若干の当日券も用意されている。東京のグローバルフェスタ会場のみ、事前申し込み不要。
東京は、イタリア文化会館での3日間の上映のほか、グローバルフェスタJAPAN2018でのお台場センタープロムナードでの上映も行われる。札幌は札幌プラザ2・5での2日間、名古屋では名古屋国際センター別棟ホールでの2日間で、日本初上映の4作品、およびアンコール上映の2作品、計6作品が上映される。(詳しいスケジュールおよび申し込み先等は下記の表を参照)。
アンコール上映となるのは、これまでの評価の高かった作品で、シリアのアレッポで、爆撃地の瓦礫の中から生存者を救い出す「ホワイト・ヘルメット」と呼ばれる男たちの活躍を追った、2017年のデンマークとシリアの合作ドキュメンタリー『アレッポの最後の男たち』と、軍事政権の弾圧を逃れ、日本に渡ったビルマ人青年の14年間を描いた2012年の日本のドキュメンタリー『異国に生きる―日本の中のビルマ人』の2本。
日本で初上映となるのはレバノンの難民キャンプでケータリングビジネスの起業に挑戦する女性の姿を描いた『ソフラ~夢をキッチンカーにのせて~』、ミャンマーから命をかけて逃れた14人の若者の成長を追った『アイ・アム・ロヒンギャ』、韓国人初のUNHCR親善大使としてイラクの非難民キャンプに入り、そこで出会った障害をかかえる少女とその家族の生き様を追った『君たちを忘れない』の3本のドキュメンタリーと、父が戦地へ赴いた後、託された祖母のはからいで隣国に住む母親の元へと避難する10歳の少女の目を通して避難民の苦悩を描いたドラマ『パパが戦場に行った日』の4本となる。
上映映画について
映画祭に先駆け、先日、メディア向けの先行上映が行われた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表 ダーク・ヘベカー氏、特定非営利活動法人 国連UNHCR協会 理事長 滝澤三郎氏の挨拶の後、日本初上映となるドキュメンタリー『ソフラ~夢をキッチンカーにのせて~』が上映された。
2017年、アメリカとレバノンの合作で、監督はトーマス・モーガン。アラビア語音声に日本語、英語字幕の73分の作品。エル・グウナ映画祭(2017) Mentor Arabia 賞、 Cinema for Humanity Audience 賞を受賞している。
映画は、パレスチナ難民として、レバノンの難民キャンプで生まれ育ったマリアム。働こうにも難民が就ける仕事は少なく、キャンプの人々は貧しい生活を強いられている。そんな中、マリアムは得意の料理を活かし、同じく料理上手な女性たちとともに、ケータリングビジネスを立ち上げる。身分保障のできない難民という立場で起業することは、様々な壁や困難に立ち向かうこととなるが、持ち前の明るさとバイタリティー、そして家族を、さらにキャンプ全体の生活を少しでも向上させようとする女性たちの、夢、希望、情熱、絆、そして愛と勇気に満ち溢れたサクセス・ストーリー。
暗く、重くなりがちな、難民を描く映画の中で、難民の悲惨さや生きる困難を伝えながらも、希望に満ちた明るい作品に仕上がっており、初めて難民映画祭の上映を観覧する人にも感動を味わえる映画となっている。
UNHCR難民映画祭の公式情報・事前申し込みはこちらから
http://unhcr.refugeefilm.org/2018/
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