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順番を変えればマインドも変わる!「新しい地方創世のカタチ!」と銘打ったサクセスシェアリングプロジェクトに取り組むプラスディーの挑戦

デザイナーやエンジニアの価値をあげる体制作りとは

映画等の広告の制作会社としてスタートした株式会社プラスディー(以下+D)が「新しい地方創世のカタチ!」と銘打ったサクセスシェアリングプロジェクト(https://plus-d.co.jp/local/)を発足させたのは、以下のような経緯だ。


お話をお伺いした株式会社プラスディーの代表取締役の本田晋一郎さん

制作受託は代理店から制作会社、さらに多くの下請けへ流れる体制で、制作物は確認の繰り返しにより最初に作ったものとはぜんぜん違うものが納品されるのが常。

「デザイナーの意思があまりない状態で……。僕らがクリエーターチームを作る上では、デザイナーの価値を上げていくことをまず大事に考えました」

クライアントありきの映画や広告の仕事において、クリエーターのスタンスを上げるため、より直請けに近い状態で組織化することを目指したが、それでもコンセプトに関わることはできないという限界があった。そこでクライアントの中に入って活動するという発想に行き着いた。

社名の+DはデザインのDを指していて、あるものに対しデザインで付加価値をつけていくという概念。大企業に入ることより「これからの企業」に入り込む必要を感じ、あえてレガシーゾーンである″地域″に目をつけたという。

「いいものを作っていながら、宣伝方法を知らない、する人がいない、コストがないという現実により、全国展開していかれない地域の人々の中に入って、いわば宣伝部となって活動していこうというのがスタートです」

地域活性化にまつわる誤解と問題

プロジェクトをスタートさせて最初に突き当たったのは、東京の会社だという変えようのない事実。「東京モンがいきなりドアノックしても、警戒されるんですよ(笑)。会ってももらえない。そこで、地元に信用のある自治体や信金などとパートナーとなって、まずは地域全体のイメージアップから取り組みました」

まずネックになったのは地元に「危機感がない」ということだった。

例えば、活性化のために公的な助成金という地域活動ならではの資金を得たたとして、マルシェなどを開催する。ところが、全国のいいものを集めてしまって、8割方が地域以外の産物という結果になってしまう。本来、地元のプロダクトを発掘し、育て、広めていくべきなのに。「危機感がないとなにが起こるかというと……なにも起こらないんですよ(苦笑)。それじゃダメなんです」

また、「地域活性=観光」と考えられていることも問題だった。観光は一過性である上、ひとりの人が年に何度も同じ地域を訪れるとも考えにくい。自らが全国に向けて魅力や特色あるプロダクトを発信していかなければ活性化は望めない。さらに地域性を打ち出すことはダサいという思い込みを持つ生産者も少なくないという。

これらの誤解や問題をひとつずつ取り除いていくことが、プロジェクトを進める第一歩となった。

順序を変えれば、マインドも変わる

そこで、現実を知り、当たり前のことを自覚してもらうという啓蒙からはじめることにした。効果的なのは、順序を変えること。地方のプロダクトを売るとき、つい、東京などに出ていって、催事での直販だけを考えてしまうという例が多いという。

「でも、それでは買ってくれた人がリピートしたくてくても、再版につながらないんですよ。そこでまずECサイトを立ち上げる。プロダクトの見直しや改善はそれからでも遅くないんですよ。催事は、即売+プロモーションだと考えてもらうんです」すると、流通が変わりはじめる。生産者の方々も、がぜんおもしろくなってきて、モチベーションも意識も変わるという。
また、これまでの自治体はトライ&エラーを嫌う傾向にあったが、失敗から危機感を持ち、そこから学んで改善をしていくところも増えてきたという。

目指すべきこれからのスタイル

意識や、売り上げに伸びが見られる自治体に、若さは欠かせない。首長が代替わりして若返りしている例も多く、さらに役所が……実年齢というより、若い頭でそれについていけているところは気づきも早く、活発な動きが出ているという。また、UターンよりもIターンの人材が、客観的な視点で地域のプロダクトのよさを見いだしている例も少なくない。前述のトライ&エラーにしっかり向き合い、取り組んでいるところはこのような若く活発な地域に多いという。

お金がない、ノウハウがない、雇用ができない、という三重苦を抜け出すには、+Dがその根幹に触れ、クリエーティブな要素をどれだけ活用できるかにかかっている。+Dでは、基本的に3年という長めのスパンで地域とがっぷり組んでプロジェクトを進めており、まだ途上ではあるが、よい兆しの見える地域も増えてきた。

同社が携わっている嬉野茶のプロジェクト。佐賀・嬉野の土地で何百年もの間、 脈々と受け継がれている歴史的伝統文化「嬉野茶」、「肥前吉田焼」、「温泉」。嬉野はこの三つの伝統文化が息づく唯一無二の舞台。 その伝統を重んじ、時代に合わせ新しい切り口で、普遍的であり静謐な空間で、 四つの季節で表現するプロジェクトが「嬉野茶時」。 オンラインショップはこちら。https://www.ureshinochadoki.shop

今後は、地域自体が改まった意識とともに、そのプロジェクトそのものを引き継、動き出した売り上げをどこまで伸ばしていけるか、ニーズにどれだけ応えられるか、が課題。
「それが形になれば、東京も含め日本のあらゆる‘’地域‘’の魅力あるプロダクトを海外にもどんどん売っていけると思います」という力強い言葉が今後の展望の明るさを表していた。

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