2017年9月2日(土)に開催した映画「はたらく」試写会イベント。
以前ソーシャルスタンドのイベントに参加してくださったご縁で、監督である齋藤一男さんが今回、ソーシャルスタンドスタッフ向けに試写会を実施しました!
会場は都内某所の会議室。
はじめに映画「はたらく」を観させていただき、終演後に齋藤監督と参加者で感想を共有する、という流れでイベントを進めました。
この映画は、映画監督の齋藤さんが自閉症を持つ翔平さんに新作映画「はたらく」の主演を依頼し、共に作品を作っていく作品です。この映画の不思議なところは、ドキュメンタリーとフィクションの融合のような構成になっていること。
前半は、映画の制作過程である、監督としょうへいさんと俳優たちとのやりとりをリアルに映し出したドキュメンタリー、そして後半は、実際に完成したフィクションという、2部構成になっています。
「はたらく」を見終えた私たち参加者は、齋藤さんを囲んで1人ずつ感想を述べていきました。一人一人の声に真剣に耳を傾けてられる監督の姿が印象的でした。
・生きがいということについて、一般的に言うと映画は、こうだというテーマがあって、出来上がっている。この映画はテーマが、結論がないまま終わってしまったことが面白い。しょうへいさんが生きている時間、日常が永遠と続いていて、どこか抜けたところとかがあって、そういう意味では商業的なものとは違って、かなりユニークなものになっているのではないかと思います。淡々と続いているのですが、しょうへいさん自身が即興をやっているのがすごい。たしかにしょうへいさんは、ルーティンに対する慣れがあるのですが、それは安心ということなのだと思います。
今回、周囲の期待に応えなければいけないというプレッシャーが、しょうへいさんの中にはあったのではないかと思います。こだわりがある、求められたことに応えないといけないということが、台本のあるお芝居だとそのプレッシャーが強くなり彼の良さがあまり出なく、即興だと、素の部分が活かされて、働き方・生き方というのが出ていたのではないかと思います。
参加者の方の感想に多かったのは、作品鑑賞後に抱く「違和感」。
私はそれこそが、この映画の魅力でもあるのではないかと思います。
「福祉とはこうあるべき」という答えを提示しているのではなく、鑑賞した人それぞれに、考えるきっかけ、答えを探していくきっかけを与えてくれる映画なのです。
続く質疑応答・・・。予定時間をオーバーしてしまうほどの盛り上がりをみせます。

Q. しょうへいさんを主演に選んだ背景は何だったのでしょうか?
齋藤さん: 強いものが生きやすい社会。福祉に関しても、結局、目に見える形の中で出来る人が中心になってしまっているという状況があります。それっておかしいよなと思いました。だからあえてしょうへいさんを主演にしたいと感じた。彼のよくわからないところ、技術じゃないところに引き付けられる。生き様だと思っています。僕なりの俳優論です。
Q. ビジネス的な難しさは置いておいて、どのような人に見てもらいたいですか?
齋藤さん: 全ての人ではありますが、一番は、自閉症のある方の関係者や家族ですかね。
Q. 齋藤さんの映画は、純粋なアート映画だなと思いました。前衛なる、鋭敏な過激さがあるのですが、見栄えを出す、そういうものが一切ない。綺麗に削がれていて、癒しでもない。しょうへいさんの生き様というか、どのように見せようかという悩みや葛藤というか、一緒にやっていこうという醜さというか、それが見える。特に後半のフィクションシーンがわざとらしさというか醜さを感じて…。
齋藤さん:. 世間の人は、障害のある方に、かわいそうだから必要以上に干渉してくる。本当にしたいことはさせてくれない。社会正義を描いているので、これはわざとなのかな……。少しでも一般の人に見せたいということであれば、そういう違和感がすごい良く出ているというか、咀嚼できない彼を描きたかった。

ある福祉施設で、監督はしょうへいさんと出会いました。
その施設での現実を目の当たりにしたのです。
「健常者と障害者」というカテゴライズを生み出している社会に対し、このままでいいんですかと問いただしたい。そのために自分は何かできないのか。監督は葛藤し続けられてきました。
私はご自身の思いを素直に吐露してくださった監督の様子を見て、そう感じました。
今回の試写会イベントは、上映後に監督との意見交換を行いました。
おかげで、監督の思いを知り、さらに深く考える機会につながりました。
私は今回の試写会に参加してハッとしました。
現在の社会の在り方について、何の疑問も持っていなかったことに気づかされました。
最後に、映画「はたらく」の今後について齋藤さんに伺うと、「映画館に限らず、この映画の多様性を生かした画期的な上映スタイルを模索している」と力強く語ってくれました。
この作品が少しでも多くの方の目に留まり、監督の投げかけている疑問について、多くの人と答えを探していけことを願います。
映画「はたらく」の上映会をソーシャルスタンドにて開催します。

映画「はたらく」の関連情報は以下から

自閉症の翔平さん主演!映画「はたらく」全国上映プロジェクト
https://readyfor.jp/projects/eigahataraku-ouen映画「はたらく」公式ページ
http://logosfilm.jp/free/hataraku上映情報などその他詳細はロゴスフィルムFacebookで発信中です。
ロゴスフィルムFacebookページ
http://www.facebook.com/logosfilm/
この映画を2度見て、素晴らしいのは分かるのに、とても難しくとても複雑で何と形容したら良いのかと悩んでしまう事がありました。
こんなにこの映画の魅力を明らかにして下さって、本当に感謝しています!