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株式会社が子ども食堂に取り組む理由:株式会社ニュートン

昨今、子どもの貧困が社会課題に挙げられる中、子ども食堂が様々な場所で開かれている。そんな中、子ども食堂を株式会社として運営開始した株式会社ニュートン。株式会社ニュートンは、カラオケパセラなど、多数のエンターテインメント・アミューズメント施設を運営している。なぜ株式会社でありながら子ども食堂を開始したのか?その背景をインタビューにてお伺いした。

 

インタビュー:松尾祥司(管理本部人事総務部次長兼広報担当責任者)

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絶対弱者はだれか?子どもへの社会貢献活動と収益活動は両輪

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子ども食堂は、今まで継続してきた社会貢献活動の一環として、こういうのもいいよねと始まったばかりのものです。その為、まずは、私たちが継続してきた社会貢献活動を紹介させて頂きます。

 

もともとニュートンサンザグループでは、創業社長が「企業組織としての収益活動と社会貢献活動は両輪であるべき」という哲学を掲げていました。すぐに社会貢献活動をスタートすることは出来ませんでしたが、しっかりとした体力がついた平成20年から社会貢献活動を開始しています。

 

いざ、社会貢献活動として何をしようという話になった際、手法として、まずは「空間」を作ろうということになりました。直接的なボランティア活動をするなど様々な選択肢がある中で、弊社が培ってきた“空間を作るビジネスを実施してきた経験”を活かしたいという思いがあった為です。

 

リサーチを進めるうちに、ボランティア団体・支援団体さんが困っていることの一つに彼らが使える場所が少ないということに気が付きました。お金を払って場所を借りるだけでも相当な負担になりますので、まずは、その部分を解消する助けをやってみようと考えました。ボランティア団体・支援団体の方々が使い勝手がいい便利な空間として使っていただくことで、助けになることが狙いです。

 

その際、ボランティア団体・支援団体さんのその先にいる対象として、「子どもがいること」と弊社では意識しています。世の中、色々な方が生きている中で、「絶対弱者は誰か?」という問いが私たちの中にはあります。私たちは、自分で頑張れる人は、自分で頑張らなくてはいけないとも思っています。ただ、状況・環境によって、頑張りたくても頑張れない方もいるのではないか?、私たちの考えでは、それに該当する方が、子どもだと考えております。

 

そのような経緯や考え方から、ボランティア&いじめ・障害・悩み相談&無料貸会議室を提供する「がんばれ!子供村」を開村しました。

 

これが弊社の社会貢献のスタートになります。

 

起点の子どもへのサポートの一環として始めた子ども食堂

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私たちは、「がんばれ!子供村」を、時間をかけて、育ててきました。社員が持ち回りで受け付けなどの運営に携わるなど、地道な取り組みをしてきました。最初のうちは、利用者が来るか来ないか分からないような状況が続きましたが、今では、1年間で1800件を超えるくらい使われる施設に育ってきました。

 

ある程度育ってきた「がんばれ!子供村」の1階の部分が開いていた中で、そこには、地域密着型の健康カフェを実施することになりました。狙いとしては、珈琲ショップとして地域のシニアの方々に来て頂きたいと考えております。そのように施設が拡充する中で、更に社会貢献になることはないか?と検討する中で、もう一回、起点に戻って、子どもの為にできることをもう少し進めようと考えました。

 

社会状況を考慮すると、共働きや経済状況の悪化などの要因で生まれる子どもの孤食がこの地域でも発生しているのではないかと考えております。その為、どこまでニーズがあるか分からないですが、地域の子どもの為に、子ども食堂を開いてみようと。その際、無料にしたら逆に怪しいかもしれないので、いくらが妥当かわからないですが、まずは、100円でカレーを提供してみようということに至りました。

そのような経緯から子ども食堂をスタートしています。

 

社会貢献活動を認知してもらい、他社に真似してもらいたい

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子ども食堂を開始して、最初は、お客さまはいらっしゃいませんでした。1週目は0人、2週目も0人。もしかしたら、看板が分かりづらいのかもしれないと思い、色々と試行錯誤してみると、3週目は3人(兄弟)ですが、子供たちが来てくれました。更に、今度は、先週来た3兄弟がまた来てくれて、友達も連れてきてくれました。

 

おそらく、じわじわとでありながら、利用してくれる子どもが増えていくと思います。

IMG_3761カフェの厨房のスタッフが手作りで、家庭用のカレーを提供している。
じゃがいもとにんじんとか、そのままお出しをしている。

いらっしゃった子どもに話を聞いてみたところ、4兄弟で一番下のお子さんは、まだ3歳だそうです。お母さんが、まだ一番下の子の面倒を見るのが大変で、3人で食事を子ども食堂で食べてきてねと促されていらっしゃったそうです。

 

どのような使われ方をするかはまだまだ未知数ですが、顧客が少しずつ増えてきていることを考えると、やってよかったという手ごたえを感じています。続けると広がっていくという感触もあります。

 

まだ始めたばかりですので、今後、もっと色々な場所でやろうよというのは、このタイミングではせっかちかだと思います。今は、「子ども食堂があるパセラ珈琲」、「がんばれ!子供村」が社会に浸透・認知してもらえたら嬉しいと考えております。

 

見方によっては、このような活動をすることが売名行為なのではないかと言われる方もいらっしゃるのではないかと思います。でも、私たちは、売名行為としてやっていると思われたとしたら、他の会社の方々に是非真似したらどうですか?と伝えていきたいと思っています。

 

ボランティアや子ども食堂などの社会貢献活動をどうぞ一緒にやりましょうと伝えていきたいです。もしそのような活動が増えたら、いい世の中になっていくと信じているからです。

 

お客様に心の付加価値を感じてもらいたい

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収益活動と並行して、社会貢献活動をすることは、「いいことをやっていないと、その個人としてはいい人生にはならない。そんな会社で働いているという従業員も満たされない」という価値観が背景にあります。実際に社会貢献活動をすることで、やりがいに繋がるケースが多いと弊社では考えています。

 

例えば、子供村をきっかけに、お子様を支援しているNPOと仲良くなり、白血病などの難病を抱えている子供たちがいらっしゃることを知ったことがありました。(中には、寿命が限られているお子さんもいらっしゃいます。)

 

話を聞いていくと、費用の問題から、家族旅行もなかなか出来ず、思い出作りもできないということが一つの悩みであると知りました。私たちは、リゾートホテルも展開していますので、リゾート施設を彼らの夏休みの為に無料開放することにしました。彼らに対して、心底おもてなしをさせて頂く中で、ご家族に喜んでもらえると胸が打たれる思いになります。それがやりがいに繋がります。

 

私たちが生業としている業種には、カラオケ店、カプセルホテルなどがあります。決して、超一流ホテルや超一流レストランではないのは事実です。でも、たかだかカラオケ屋、たかだかカプセルホテル屋という在り方で終わっていきたくない。

 

弊社は、独特であることを大事にしています。そんな企業だからこそ、社会貢献を収益活動とともにしっかりやっていきたいと考えています。私たちの生業や規模でも一生懸命やっているということは、企業全体としての見る目をどんどん変えていくと思います。私たちのサービスを使って頂いているお客様に心の付加価値を感じてもらいたい。私たちのサービスを楽しんでもらうことが、子どもが笑顔でカレーを食べていることに繋がると、違う世界が開けていくのだと考えています。

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