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「社会課題に興味がない人」に興味があります!/リディラバインターン武村さん【R-SIC2017】

明るく笑顔が素敵なリディラバのスタッフ、武村佳奈さん。

今回のR-SIC2017の司会進行を堂々と務め上げ、イベント二日目のスタディツアー『地域にある分断をつなぎ直す!コミュニティ再構築のヒント発見ツアー』では、ツアーガイドとして私たちを引率してくれた。

話を聞いてみると、彼女は関西の大学を休学して、1年間リディラバでインターンをしてきたという。

3月末、リディラバでのインターン期間を終了した彼女に、1年間のインターンで得たものはなんだったのかを伺った。

リディラバとは

「社会の無関心を打破する」をコンセプトに、様々な社会問題の現場をツアー形式で体験できるコンテンツ「Travel the Problem(トラベル・ザ・プロブレム)」などを提供している。リディラバWEBサイト http://ridilover.jp/

そもそも武村さんが社会課題に興味を持ったきっかけを教えてください。

段階があるのですが、最初は大学受験の時です。当時、小論文を書くために読んだ本のひとつに国際協力関係の本があったんです。世界には勉強がしたいのに出来ない子供達がいることを知り、その子たちのために何かしたいなと思ったんです。

社会問題を知っていても、アクションを起こす人はそれほど多くないように思います。武村さんのように当事者意識を持って社会問題に積極的に関わろうと思う人と、そうでない人の違いは何だと思いますか?

機会の差は大きくあるなと思っています。

なるほど。

高校生の私もその本を読んで貧困の子どもたちの問題に興味を持ったんですけど、人生かけて取り組みたいと思っていたわけではなかったんです。

そうなんですか?

はい、でも大学に入ってから変わりました。ボランティアサークルでフィリピンに行く機会があって、実際に現地を見たときからです。

現地のどんな様子を見たのですか?

フィリピンのパナイ島にあるイロイロという町を訪れたんです。そこには大きなゴミ山がありました。思い出しただけでも“うっ”て後ずさりしてしまうようなゴミの山…。でも、そこに住んでいる人たちがたくさん居たんです。

その景色が衝撃的で、いまでも目に焼き付いています。その現実を見せつけられて、私の中でなにかが変わったんです。この現実を、より多くの人に知ってもらわないといけない。そんな使命感に駆られました。
現地に行ったからこそ、そういう強い気持ちがわいてきたんだと思います。

その頃からですか?当事者意識を持ち始めたのも。

そうですね、当事者意識を持ったのも、このタイミングです。フィリピンに行く前までは、ただ興味や関心という感じで、子どもたちに何を教えてあげようかな?なんて、思っていたんです。でも行ってみると勉強を教えるどころではなかったですね。

リディラバを知ったのはいつ頃ですか?

フィリピンから帰ってしばらくしてからですね。 帰国後は大学を休学して、フィリピンで私が見た現状をより多くの人に知ってもらうための活動をはじめました。アクションの一環として、ミスワールドやミスインターナショナルなどのコンテストに出場したり、いくつかのNPOでインターンさせてもらったりしていました。そんなとき「無関心の打破」をコンセプトに社会問題を学ぶスタディツアーを事業として回している「リディラバ」という団体があると聞いて、すぐに興味を持ちました。

コンセプトに共感したんですね。

はい、それでいろんな人にリディラバについて話したり聞いたりしていたら、ある人がリディラバ代表の安部とつないでくれたんです。

安部さんに会ってみてどうでしたか?

面接の場で、泣いてしまいました。

何があったんですか?

ええ、安部に今までの活動での思いを話したんですけど、詰められて、泣いてしまったんです(笑)。

そんなに厳しいことを言われたんですか?

怒られたり、責められたわけではないんです。ただ正論を言われたんです。それがすごくまっとうな意見で、自分の不甲斐なさが悔しくって。どうしてそこまで考えが至らなかったんだろうとか、もっとこういうことできたのに!と思えたんです。安部にいろいろと指摘されたことで、自分の甘さを痛感しました。

悔しかったんですね。

歯がゆかった、というのもあります。社会の問題をどうにかしたい!っていう強い思いはあるのにそれをうまく言語化できない、そんな自分に対して歯がゆかった。

安部さんとの問答で、自分と向き合えたんですね。

はい。それまで周りにそういうことを言ってくれる人はいなかったんです。社会貢献的な活動をしていると、「偉いね」って言ってくれる人は沢山いますけど、厳しいことを言ってくれるひとはなかなか居ないものです。それじゃ成長しないんですよね、結局。

今回のR-SICはどうでしたか?

個人的に今回感じたのは、リディラバって愛されてるなぁって。参加者も登壇者も楽しみにしてくれていたのが嬉しかったです。

今回のR-SICのテーマである「分断」についてどうお考えですか?

共通言語が違う人達をいかにつなぐか、というのを考えています。

以前リディラバで自治体と連携して仕事をした際に、地方のおばあちゃんと話す機会がありました。おばあちゃんはすごくいろんな鍵を持っている。そういうおばあちゃんにいかに話してもらうかとか、どうやって気持ちいい関係を作るかというところを考えなきゃいけなかったんです。

そこで重要だったのは正しさとか賢さじゃない。人々の間をつなぐためのさまざまな言語を話せることが必要とされました。英語とか日本語とかっていう意味ではなく、いろんな立場の人を理解して、その人の視点に立って話せるというスキルです。

なるほど。リディラバの業務では特に大切になりそうですね。

NPOとソーシャルベンチャーの世界でも話す言葉(=立場)は違いました。大事にしているものが少し違ってくる。

NPOは現場を優先していました。社会問題の現場が一番大事で、そこにいる人がどう幸せになるかとか、成長していくかが大事だった。

ソーシャルベンチャーであるリディラバは、事業としてNPOと一般消費者の間をつなぐ役割があるから、現場の気持ちをわかりながらも、無関心な人たちの気持ちもわからないと、この人たちを絶対に巻き込めない。
リディラバにいた1年間、社会問題の現場の方々とつながり、一般の参加者の方々ともお話する中で多くの言語に触れることができたんじゃないかと思います。

スタディツアーを通して、武村さん自身は参加者の方たちからいろいろと吸収していたということですね。

そうです。リディラバに入る前、私はすごくひとりよがりだったように思います。「なんでみんな社会問題に興味ないの?」「フィリピンやネパールでこんなこと起こっているんだよ」って一生懸命伝えようともがいたけど、なかなか伝わらない。もともと関心のない人は「そうだよね」で終わってしまう。巻き込み方がわかりませんでした。

リディラバでの経験を通して、無関心な人たちの気持ち、なぜ無関心なのかを考え、共通言語を話すスキルの必要性を感じました。

今後のビジョンは?

リディラバも含めて社会の潮流を作って、社会を変えていこうという人たちのサポートが出来るようなスキルを身につけることをあと2年の学生生活の中でやっていこうと思っています。

私は特定の社会課題の解決をしたいというより、いろんな社会課題に「興味がない人」に興味があります。「なぜみんな興味が無いんだろう」「なぜ興味を持てる仕組みになっていないんだろう」ということに自分は一番関心があって、そこを打破をしていきたいという気持ちがある。リディラバの理念まんまになっちゃいますけど(笑)

素敵なお話ありがとうございました。頑張ってください。応援しています。

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